ミニ大通レターズとは

北海道立近代美術館、三岸好太郎美術館、北海道知事公館近くの札幌市中央区の南桑園地区にある美術館通、ミニ大通周辺と美術館の常設・特別展示の情報や、近隣の情報をお伝えするサイトです。美術鑑賞のあとは「美術館通」と「ミニ大通」へ!

次回からは『桑園おもいで地図』のお話しが始まります!!

 ミニ大通レターズに、日本山岳会北海道支部の田中健さんから桑園地区のある手作り地図をお借りしましたので、この度、ご紹介したいと思います。

 田中さんとは、同じく日本山岳会北海道支部所属で、2016年1月~3月に『近隣むかし話』コーナーへご登場いただいた芳賀孝郎さん(元芳賀スキー社長)のご紹介で、芳賀さんのご自宅でお目にかかることができました。

 ミニ大通レターズに掲載された芳賀さんの桑園の思い出話についてお話ししているうちに、田中さんから「実は、亡くなった母も桑園の生まれで、母らが生前にコツコツと作り上げた桑園の地図がありまして……。」とのお言葉が!おのずと興味津々となり「では次回、是非、お母さまがお作りになったその桑園の地図を拝見させてください」ということに。

 そして、その後、田中さんとの再会の場となったミニ大通13丁目のcafeロウライフさんにお持ちいただいたのが下記に掲載の地図です。

『桑園想いで地図』田中澄子さん作

 実寸サイズA全版(左右625×天地880mm)の大きな白地図上に、たくさんの民家や商店の名前が丁寧に張り込まれている地図です。

「この地図は1980年代後半に、当時60才くらいだった母が、小学生時代(昭和5(1930)年~昭和12(1937)年頃)の桑園を思い出しながら、当時の街並みを再現したものです。」

 お母様の田中澄子さん(旧姓は東さん)は、1954年に28歳でご結婚されるまで北4西14丁目のご実家にお住まいで、桑園を離れた後も子どもの頃の桑園を懐かしく思い続け、その時代の桑園を地図上に蘇らせること念願し続けておられたそうです。

 地図そのものには、かつて存在していた市電北5条線と桑園線が記され、各条丁目の区画には、たくさんの商店名や住人の方の名字が活字で貼り込まれています。

 貼り込みの活字は、ワープロで打ち出した名称を一軒一軒、紙片に切って貼ったもの。澄子さんがこの『桑園思い出地図』をお作りになった1980年代後半から1990年代前半は、日本の各家電メーカーがこぞってワープロ専用機を発売し一般の家庭にも普及し始めた頃。澄子さんにとって、このワープロの普及は、子どもの頃の桑園を地図に蘇らせるという長年の夢を叶えるチャンスの到来だったのでしょう。

 健さんご自身は当時、東京でのお仕事で親元を離れておられたので、その作業を間近にはご覧にはなられてはいなかったようですが、澄子さんは、ご兄弟や、幼なじみの方々と共同作業で楽しみながらこの地図をお作りになったそうです。とにかく、細かい文字の一つ一つを追うごとに、道路や区画の大小こそ現在とほとんど変わらずとも、かつての桑園には市電が走り、その沿線のみならずいたるところに多種多様な専門店からなるたくさんの商店街が点在していたことが偲ばれ、まさに驚くばかりです。

 今回は、田中健さんと地図をお作りになった故人田中澄子さんに感謝を込めて、この地図の中から、各エリアに点在した商店街部分を拡大接写し、『桑園思い出地図』として来週より数回にわたって皆様にご覧いただくことと致します。どうぞ、往時の桑園の街並みをお楽しみください。よろしくお願い致します。

#桑園わくわく商店会

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