『さとぽろ』とその時代
詩・版画・都市のモダニズム
平成28年3月21日(月・祝)まで北海道立近代美術館A室にて開催
『さとぽろ』とは、1925年6月に札幌で生まれた詩と創作版画の同人誌です。創刊したのは、当時の札幌の地にあって国内外のトレンドに敏感に反応し美術、文学、音楽、演劇など幅広い芸術に自らの創作意欲を駆り立てた、北海道帝国大学(現:北海道大学)の学生と教員たち。その彼らに、東京の地からやってきて共鳴した新進気鋭でフリーの建築家田上義也が加わって、その活動は雑誌出版の枠組みから展覧会、音楽会、舞台といった総合芸術へと展開の幅が広がって行きました。
『さとぽろ』は、創作の誌面発表のみならず実際のイベントを企画告知し開催したという点では、いわば札幌におけるタウンミニコミ誌としても古典といえる雑誌かもしれません。創作し出版しイベント活動も成し遂げた彼らの4年間の活動と、その活動がその後の田上義也の建築にどのような表現となって現れたのかにも焦点をあてたこの展示を見ると、当時の札幌の若者たちのモダン精神溢れる個々の自立した表現力と力を結集させてメディアを作り上げる力強さと快活さに心を打たれ、テレビというマスメディアの存在しない時代の牧歌的な若者の躍動を感じさせられます。もし彼らの時代にインターネットというものがあったなら....。そんな、たらればを創造してみるのも楽しいかもしれません。
<関連事業>
学芸員によるギャラリートーク 土曜日14:00~(約30分)
○ことばとアート・・・1月30日、2月27日
○国貞、国芳、英泉にみる江戸女性の人間模様
・・・2月6日、3月5日
○『さとぽろ』と日本のアバンギャルド芸術雑誌
・・・2月13日、20日
○遊び心と器−用いられることを拒否するカップ?
・・・3月12日、19日
『さとぽろ』とその時代展 映画上映会
田上義也設計《坂邸》が舞台となった映画『Love Letter』(監督・脚本:岩井俊二、出演:中山美穂、豊川悦司ほか)を上映いたします。
2/11(木) 13:30~(約117分)当館講堂(230席) 観覧無料
「北光トリオ」に捧ぐ-「『さとぽろ』とその時代」展コンサート
『さとぽろ』同人であった建築家・田上義也は、ヴァイオリニストとしても名声があり、ピアニスト・小川隆子、チェリスト・飯田実とともに1924(大正13)年に「北光トリオ」を結成し、道内各地で演奏、好評を博しました。北海道で活躍する3人の音楽家が、「北光トリオ」が得意とした曲目を中心に演奏します。
2月13日(土) 15:00~(約1時間)1階ホールにて
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